興行ビジネスを救う試案としての「観客憑依システム」

新型コロナ感染拡大を防ぐ為、3密を避けよ、とのことで、凡ゆる興行ビジネスは壊滅状態である。 このままでは、「人々が会場に集い何かを観る」という形の事業に関わる人々は、窮乏して散逸してしまいかねない。 それは、日本の(そして世界の)文化の崩落に他ならないだろう。 それを助ける為に、現在利用可能な技術を使って、何が出来るか、考えてみた。 名付けて、興行ビジネス用観客憑依システム、である。

 

【 興行ビジネス用観客憑依システム 】

  1. 現存する興行会場の座席に、人間の上半身サイズに近い液晶ディスプレーを縦に設置し、そこに個々の観客の姿を映し出す。
  2. これにより、プレイヤー・演者は、会場にどの程度の観客が入り、どういう反応を見せているかを、生身の人間の時と似たレベルで感じ取る。
  3. 会場内のディスプレーの上部に、8Kカメラと、バイノーラル録音マイクを設置し、会場の動画と、音響を、超高精細で捉えて、個々の観客の自宅に送る。
  4. 8K動画と、バイノーラル音響のデータを送信するには、膨大な帯域が必要となるが、これを、5Gネットワークを利用して賄う。
  5. 観客の自宅では、8Kテレビと、ワイヤレスイヤホンで、会場から送られてきた動画と、高精細音響を、観客に臨場感を持って伝える。
  6. 観客の自宅にも、FHD程度の観客の上半身動画を撮れるカメラと、観客の声を録れる高性能なマイクを設置し、データを会場の液晶ディスプレーに送る。
  7. 会場の液晶ディスプレーで、観客の様子を再生し、その上部左右にスピーカーを設置し観客宅で録った音声を再生することで、観客存在を擬似的に作り出す。
  8. 興行の入場券には、座席番号(=液晶ディスプレーシステムログイン情報)が記載され、それにより観客は自宅から「憑依」を行うことで入場する。
  9. 観客自宅側のシステムは、8Kディスプレーと、高性能ワイヤレスヘッドフォン、カメラ、マイクで、構成され、買取又はレンタルとする。

f:id:Jota_Shimazaki:20200502193221p:plain

椅子の上に、縦長に人間の上半身に類似したサイズのディスプレーを置いて、そこに観客の姿を映す。

バイノーラル録音の音源を、イヤフォンやヘッドフォンで聞いたこと、ありますか? https://youtu.be/qBPt6zzZbVA かなり臨場感があって、これに、高品質な8K動画を加えれば、音楽やスポーツでも、かなりの迫力を再現出来るのではないか、と思っています。

一つの問題としては、ハウリングがあります。 https://bit.ly/2KWlyeE 観客の自宅側では、会場の音が再生されるのは、ヘッドフォン・イヤフォンである、と仮定すれば、会場の動画を画面で見て、会場の音響を聞いて、こちらでも歓声をあげた、としても、ハウリングは起きない筈。

しかし、興行会場側では、多数の「憑依システム」から、スピーカー経由で、数多くの「観客」が各家庭の視聴システムの前で上げる歓声を再生する。 それが、高精度なバイノーラルマイクに入ると、どのような効果になるのか。 実際にやってみないと、分からない部分はあると思われる。 しかし、観客の家庭での再生がヘッドフォン・イヤフォンであるのであれば、ハウリングの悪影響は起きない筈である。

 

上記のシステムを構築する為に必要な機器とネットワークは既に存在している。 それを下記に挙げる。

 

憑依システム本体として、会場で座席に設置するディスプレー(40インチ:27,000円程度〜)

kakaku.com

憑依システムの眼となる8Kカメラ(8Kで、40万円〜50万円)

www.bcnretail.com

バイノーラル録音用マイク(30万円程度)

mimimic.com

会場と観客自宅を結ぶ5G回線

ja.wikipedia.org

観客自宅に設置される8Kディスプレー(20万円〜)

kakaku.com

観客自宅に設置されるワイヤレスイヤフォン(27,800円)マイク兼用

www.apple.com

会場で観客自宅での声援・歓声を再生するスピーカー(8,000円〜)

kakaku.com

 

会場側の憑依システムから、観客自宅側の視聴システムまで、全てを繋ぐシステムが、完全に抜け無く揃っている、とは未だ言い難いが、重要な要素技術はほぼ出揃っていると考えられる。 

又、どの程度の遅延が起きて、どれくらい臨場感を損ねるのか、多数の回線が興行会場に敷設可能なのか、等、解決すべき問題も多数存在するだろう。

しかし、演ずる側(スポーツ、芸能、どちらでも)と、観客側のインタラクションがあってこその興行であり、それを出来る限り活かして場を提供することが、文化の継承・延命を可能ならしめることになるのではないか。

何処かの興行会場で、このシステムのパイロットテストを実施してみたいものである。

 

★ 2020/05/04追記:

このエントリを書いた晩、実際にこのシステムを構築する為に必要な手順を順番に数え上げて行ったら、興行会場で撮影した8K動画を、圧縮して送出する、ソフトウェアが、今の所、存在しない、ということに気づいた。 同じく、受信側の自宅でも、送られてきた8K動画を解凍して画面に映し出すソフトウェアが、今の所、存在していないだろう。 各々の技術的要素は存在するものの、まだ、全体を統合して動かせるところまでは至っていなかったようだ。 至らぬエントリを書いてしまって、お恥ずかしい次第です。 しかし、興行ビジネスを救わねば、という意識は変わらず、それを、8Kに拘らず、出来る限り高精細で、という条件であれば、現在使えるシステムも数多く存在すると思われるので、これを何処かの興行主体で、施行出来たら良いな、と考えています。

 

 

Facebook

bit.ly

Twitter

 

bit.ly