パーム:(獸木野生)伸たまき

PDAPalmではない。 新書館Wings誌に連載中の奇妙な、しかし異様に魅力的な長編漫画である。 作者の獸木野生(旧名:伸たまき)がオーストラリアに移住してしまった上、連載が隔月というペースなので、彼女が無事に最後まで描いたとしてもあと10~20年はかかるんじゃないか、という大河ドラマである。 癖のある画風といい台詞回しといい、筋といい、とても少女漫画のカテゴリに存在するとは思えないような独特な世界観を構成している。

どんな漫画か、というと説明が難しいが、主にロサンゼルスに住む、極めて個性的な登場人物達の生活を通じて、20世紀後半の世界の様相を描き出そう、という野心的な試み、とでも言うべきだろうか。(青木みやさんのページ
http://live.pobox.ne.jp/books/...
の表現の真似っぽいが)

主な登場人物であるジェームズ・ブライアン、カーター・オーガス、アンドリュー・グラスゴーの三人を軸に展開してゆく、恋愛あり、環境問題あり、コメディ、オカルト、様々な要素が混在している。 ちなみに環境問題は獣木の大きなテーマらしく、多分彼女が伸たまきから獸木野生と名を変えたのも、それが理由ではないか、と推測している。

1984年に連載が開始され、私は1987年位にその存在に気づいた。 それから2年程米国暮らしして、帰国して又単行本で買い続け、だからもう15年位になるだろうか。 時々無性に読み返したくなる、習慣性のある麻薬のような作品である。(個人的には脇役だがフロイドが好きだ。)

40代の白髪のオジサンが、ウィングスを立ち読みしてるってのも気味の悪いものだろう、と思うので、単行本が出るのを待って買っているが、極めて遅いペースなので、完結するまで自分が生きて居られるのか、ちょっと心配な程である。(連載誌ウィングスの命長からんことも祈る。)

★本題からは少し外れるが、日本のインターネットで初めて「パーム」と「伸たまき」という言葉をネット上に書き込んだのは、私だったらしい。 検索エンジンで探しまくっても「伸たまき」関連の情報を探し当てられなかったので、1995年頃どこかの今は無くなってしまった掲示板に「伸たまきの漫画の好きな人、居ませんか?」と書き込んだのである。 その後検索エンジンで「伸たまき」を探し求めてその掲示板に多くのファンが集まり、結局そこからMLが派生したりして、私にインターネットというものの凄さを痛感させた一件だった。 今では「パーム」関係の記述のあるサイトが幾つも出来ているようである。
URL
http://live.pobox.ne.jp/books/fiction/t-sin.htm
URL
http://www.magiccity.ne.jp/~bigcat/index2.html
URL
http://www1.odn.ne.jp/manga/sakuhin/23shin.htm
発売元
新書館
人名
獸木野生(旧ペンネーム:伸たまき