昼は北の丸公園で

久々に北の丸公園に出掛けて昼食。 パレスサイドビルでお弁当を買って、一人でぶらぶらと歩く。 木々が紅葉しているが、そろそろ盛りを過ぎた感じで、おばさま様の写生軍団の姿も見えないのが有難い。 12時10分前位にオフィスを出たお陰で、一番お気に入りのベンチに気持ち良く腰を下ろして、ゆったりと食べることが出来た。

食べている最中、目の前の柵の支柱の一本に大きな鴉がとまり、あっちを向いたりこっちを向いたり。 奴の嘴がこちらを向いている時は、必ずしも目玉がこちらを見ているとは限らない。 鳥の、特に鴉の目玉は割と顔の左右に分かれて付いているので、相当視野角が広いだろうし、横を向いている時の方が、片方の目にとっては僕の顔が正面に見えている筈だ。 人間の目玉で人間の視野しか経験したことがないので、一体別の生物がどのような視界・視野を得てどう感じているのか、想像するのは難しい。

よく見ると、鴉というのは案外美しい鳥だと思えなくもない。 赤毛のアンの中に「鴉の濡羽色」という表現があったが、今日の鴉の羽根は、光の加減によっては薄い青味がかかった黒で、つやつやと美しい光沢を帯びていた。 都会の鴉は栄養が良くて、羽根の油分が多いのかも知れないが、それにしても美しい。 おまけに賢そうな顔をしている。

鴉は僕の昼食のおこぼれを狙っていたのかも知れないが、注意深く一粒も落とさないようにして食べたので、途中で諦めたらしく、飛んで行ってしまった。 君は美しいけれど、公園で鳥に餌をやるのは自粛しているんで、ごめんな。

欅の葉が紅葉しているが、大きな欅の葉の大部分が「紅葉」というより、更に状態の進んだ「枯葉」状態になって樹に残っているのが美しくない。 この秋は余り強い風が吹いていないから、枯れて完全に「死んだ」状態の葉がまだ大量に樹に残っている、ということなのかしらん? 随分見苦しい状態に思える。 以前もこんな状態を見たことがあったっけかなあ、と考えながら帰って来た。 こんな時は、自分の自然に関する知識なんて、本当にささやかなものだと痛感せざるを得ない。