老人的な風采

ところで、ドコモ・ショップに入った瞬間に若い男が近寄って来て「いらっしゃいませ、本日はFOMAらくらくホンIIが非常にお安くなってますよ!」と声を掛けてきた。 おい、僕の顔を見てらくらくホンを勧めたな? ほぼ白髪でおまけにごま塩髭ではあるけれど、まだ視力は2.0近くあって、元気そのものなのに・・・ 

毎度、子供の迎えに行った際の「○○ちゃん、お爺ちゃまのお迎えよ!」という保母さんや習い事の先生の声にはそろそろ慣れてきたのだが、サービス業的な店舗に行って老人向け製品を当然のように勧められるような扱いに慣れるにはまだ暫く心の修養が必要になりそうだ。

老人に見られるのが嫌だ、と思うのは、老人の方が能力が低いから、より機能を簡略化したらくらくホンを勧められたのだ、と自分が思って、馬鹿にされたように感じたからなのだろうと思う。 しかし良く考えてみると、老人に見られるのが嫌だ、ということでは無くて、能力が無さそう、と思われるのが嫌なのだ。 別に年齢的に何歳に見られようと、僕は構わない。 竹中工務店時代、銀座のバーで課の主席より先にお絞りが出てきた、とか、高校の同窓会で仲居さんが先生を差し置いて僕に最初にお酌しようとした、とか、エピソードは沢山あるが、自分としては落ち着きと貫禄が備わっているからだ、と良いように解釈するようにしている。 でも、らくらくホンを勧められるのは、それが情報機器の「使いこなし能力」に関わっているだけに、何だか嫌なのである。