金浦(きんぽー)空港からの地下鉄

金浦(きんぽー)空港からは地下鉄に乗る。 昔の羽田空港みたいな、床がPタイルの古びたビルから、ちょっと派手な模様の大理石の地下通路を通って、地下鉄乗場へ。 今回の出張で、過去3回の出張で溜め込んだお釣りの貨幣・紙幣を使おうと思って、沢山ポケットに入れてきたのだが、早速地下鉄の券売機で使うことにした。

Mapoという駅は、ソウルの地下鉄駅番号では528番。 同一線なら、ここから何駅分なのか、直ぐに計算出来るし、ビジターにとっても分かりやすいから、こういう番号付けは良いアイディアだと思う。 空港の駅が確か511だったと思うので、要するに17駅分、乗ることになるわけだ。

料金は700KRWと800KRWの二つだけ。 惜しいことにMapo駅から800KRWに料金が上がっている。 まあ、1KRWが現時点で0.1円弱だから、100KRWは10円にも満たない訳で、正直言ってそんなことはどうでも良い。 逆に地下鉄に17駅も乗せて貰って80円弱というのが、日本では考えられない程、安い、と思わなくては。

券売機で、10KRW硬貨をまず全部使おうと思って、どんどん投入してゆくと、6枚目からは受け付けなくなった。 硬貨が歪んでいるのか、と思って新しいのも使ってみたが駄目。 どうやら、地下鉄券売機でも使い道の無い小銭を使う人達が多くて、上限を設けているように見受けられる。 仕方無いので、次に大きな50KRWの硬貨を使い、最後には100KRWを使って、ある程度財布を軽くすることが出来た。 500KRWは、日本の500円硬貨と同じサイズ同じ厚みで、日本に大量に密輸されて、自動販売機荒らしに使われ、結局日本の大蔵省が業を煮やして貨幣デザイン自体を変えてしまったといういわく付きのもの。 大きさは同じでも、価値としては僅か50円にしかならないんだから、頭の良い(狡賢い)人間というのは大したものである。

前回の出張では、地下鉄の中で、足の不自由な乞食がゴム強化された軍手をはめて床をいざって歩き、金をせびる、という構図にびっくりし、更に、車中で文房具用品を叩き売りし始めた小母さんにも仰天させられたが、今回は今のところそういうのが出てこない。 しかし韓国の社会も日本で言えば20〜30年前位の構図なんだろうか。 日本でも、僕が子供の頃、観光地等に行くと、戦争で手足を失った傷痍軍人(だと思う)が、アコーディオン等で音楽を奏でたりしながら、金品を乞うていたのを見た記憶がある。

★と書いたところで、今日は今度は洋服に掛ける不織布の埃除けを売る男が僕の正面で販売を始めた。 衣文掛けをつり革にぶら下げて製品をディスプレーする辺り、なかなか図々しい売り手だが、誰も買わないし、相手にしていないように見える。 儲かるのかな、こんなんで? 当局や地下鉄会社も、黙認しているんだろうか?

韓国では、地下鉄の中でもフルに携帯電話が使えるようだ。 走行中の地下鉄車両で、ガンガン怒鳴るようにして喋っている小父さんや、小声で喋っているお嬢さんが結構居る。 日本だとメールを読んだり書いたりしている人が多くて、口に当てていないのだが、韓国では、香港同様、所構わず喋り捲っている。 まあ、それはそれで構わないんだけどね、社会の常識がそうなっているんだったら。 日本でもいっそのこと、そういうのもOKにしてしまえば、フラストレーションが溜まらないで済むような気もしないではない。

大体35-40分程度で空港からMapoの駅に着くようだ。 タクシーに乗って飛ばせばもう少し早いのかも知れないが、安いし、車中で韓国の人達を観察出来る機会を逃すのも惜しいので、多分、当分はこの経路を使うだろう。