バローズの「火星シリーズ」に耽溺

先日、ブックオフで購入した創元文庫のバローズ「火星シリーズ」の合本の分厚いやつを一冊持って来ていたのだが、これが凄く面白い。 多分、小学校2年の頃、郡山市図書館児童室で借りた「子供SFシリーズ」の一冊で粗筋を読んではいた憶えがあるが、原作の直接の翻訳を読むのは初めてだった。

扉絵の裏に書いてあったんだが「結局、火星のプリンセスという第一作の原題通り、主人公のジョン・カーターはどうでも良くて、読者はヒロインであるドジャー・ソリスのことがひたすら気に掛かる。 火星一の誉れ高い、会う男を総なめにする美貌と魅力。 挿絵も創元の武部本一郎のものは凄く良く出来ていて、火星のプリンセスの絵といったら本家の米国でも人気らしいから、素晴らしい。

全部で分厚い文庫本3冊分の分量を一冊に纏めた本なので、中身を圧縮したわけではなくて本当に分厚い。 それを平塚出発から読み始めて、結局、ソウルのホリデーインにに到着した辺りで読み終えた。 ふぅ、疲れた。 成田〜ソウル間のフライトなんか、目の前にずぅっと美人の(本当に美人だった)ステュワーデスさんが2人坐っていたのに、着陸寸前まで気付きもしなかった位、集中して読んでしまった。(これはこれで、ちょっと惜しかったかもしれない)

結論として、これは男の浪漫であり、男の夢を思い切り描いたストレス解消作品の最高傑作の一つに違いないが、結局はそれだけのものだと思う。 様々な作品がこの火星シリーズを下敷きにして描かれ、書かれ、ファンタジー系SFの世界を発展させた一つの素晴らしい作品群ではあろうが、読了した後、自分としては「ふぅ、やっと終わった」としか言えなかった。 あまり中身のある作品、とは言えないように感じた。

だからといって読むべきではない、というほどではないが、正直言って、一度読めば充分だな、と思った。 自分がこういう作品を読み始めると、視力と思考力と集中力を相当それに奪われて仕事が手につかなくなる可能性もあるしね。 

一応、バローズの火星シリーズは、全11巻。 合本で4冊まであるんだが、一応の終結は3巻の最後でカーターが「火星の大元帥」に就任した時点で終わっているので、今は別に続きを読みたいとも思わない。 まあ、暇が出来たら読んでみるか、という程度だ。 太平に読ませたいかどうかも、ちょっと微妙だな。